『ミライの源氏物語』


第33回(2023年度)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞!

帯に俵万智選考委員の推薦分付!

ルッキズム、ロリコン、不倫。

現代を生きる私たちは名作古典「源氏物語」をどう読めるか。

人気作家・山崎ナオコーラによる現代人のための「源氏物語」エッセイ。


六条御息所と葵の上の「車争い」を、マウンティング合戦として。

女三宮はトロフィーワイフ、紫の上はロリコン、桐壺更衣と藤壺のところでは当然マザコンを切り口に、それぞれ語られています。


『(略)とはいえ、頭中将がペラペラ喋る性格だからこそ、光源氏との仲が深まっていくわけで、頭中将としてはこれでいいのかもしれません。
なんというか、異性を捧げ物のように扱うことで同性と仲良くなる達人です(褒めていません)。』

いい、とてもいい。

(褒めていません)、最高です。

至るところでナオコーラさん節が炸裂していて、痛快の極みです。


『(略)ただ、『源氏物語』が面白いのは、「人間の目には、どうしたって、他人という存在が一塊に感じられる。個人ではなくてグループに見える。
入れ替わり可能な存在に見えてしまう。
いけないことだとわかっていても、誰かと誰かを混同してしまう」ということがうまく描かれているからなのかもしれません。
光源氏が母親像を求めるのは幸せなことではないし、やっぱり気持ち悪いのだけれども、「人間の変な見え方」の描写が、ものすごく面白いのです。』

「やっぱり気持ち悪い」んだ・・・!笑

でも気持ち悪いながらも、ではなぜ面白いのか、肯定的な面も解説してくださるので、読み手も受け取りやすい。

バランスがとれているんですね。


『そんなわけで、光源氏は政敵の娘とラブアフェア(恋愛事件)を起こし、罰として須磨へ流されます。
初めて京を離れるわけです。
私からしたら須磨に行くのがそこまでつらいとは思えないですが、まあ、屈辱的なことではあり、世間も同情し、「光源氏は、可哀想だー」という雰囲気が物語の中に漂います。
海辺で寂しそうにしている光源氏の情景がまぶたに浮かび、読書を盛り上げてくれます。』

「私からしたら須磨に行くのがそこまでつらいとは思えないですが」・・・この感想にも笑いました。

この一見正直にずばり物申している感じでいながら、冷静に作品の面白さ・作者の意図・時代背景等を解説してくださる感じ、唯一無二です。


『人間はみんな、未来へ向かいます。これまでとは違う道を探します。
それは、過去の否定ではありません。これまでの道を愛しながら、この先の迷い道を楽しむのです。
もう一度書きます。
文学は旅です。
だから、未来においても、人間は『源氏物語』を読み続けることでしょう。』

人はなぜ、『源氏物語』を読むのか。

最後のまとめもよかった。


ナオコーラさんのエッセイ、実はこれまで拝読したことがなかったのですが、(これは読まねば・・・!)というきもちになりました。

絶対に面白い。

そして淡交社さん、初めましてだったのですが調べてみると「茶道」関連の書籍(主にテキスト)がメインの出版社さんらしく。

そんな出会いもおまけで付いてくる、たのしい読書体験でございました。


紋佳🐻

読書