『法の雨』


「逆転無罪」。

有罪率99.7%の日本での無罪判決は、検察官にとっては死も同然。


看護師による組長殺人事件の起訴したものの、無罪判決を受け、担当検事の大神護は打ちひしがれた。

だが、裁判長が判決の直後に法廷で倒れた。

これは偶然か。


さらに、無罪となった看護師が死んだと知り、病床の裁判長を訪ねると、さらなる謎と事件が見えて―。

検事、弁護士、被害者と加害者、刑事、そして判事。

複雑に絡み合うリーガルミステリー。


面白いと聞き手に取ったのですが、おそらくおすすめされなければ手に取らなかった表紙でした。

なんだかラノベのような佇まいですが、重厚なリーガルミステリー。

とても面白かった!


「成年後見制度」について、ざっくりとは把握していたのですが、最近は財産管理の厳格化やトラブル防止のため、法廷後見人に「親族」が選ばれにくく、弁護士や司法書士といった専門職の方が選ばれるケースが増えている、という切り口が大変興味深かったです。

「数年後には日本国民の三分の一が六十五歳以上になり、そのうち五人に一人が認知症になると言われています。そんな事情もあり、作られたのが成年後見制度です。しかし、現状、まともに機能していません(略)こんなことなら利用しなきゃよかった、という後悔の声ばかり聞きます」

「一番悲惨なのは、障害のある子供の親です。子供の将来のために子供名義で積み立てていた貯金が後見人に吸い取られていきます。ハンコや通帳を奪われ、後見人の報酬という形で子供が死ぬまで何十年も貯金が食い潰されていくんです」
「辞めさせることはできないんですか?」
「信じられないでしょうが、後見人が横領していたり、被後見人に被害を与えている事実がないかぎり、解任はできません。家族の希望に合わないとか、後見人が気に食わないとか、通帳を見せてくれないとか、その程度では無理です。何とか解任できたとしても、また別の後見人がつくだけです」

まさに悪夢。

誰かを救うための法律が、誰かを苦しめている。

そんな構造にもどかしさでいっぱいになりました。


『結局のところ、世の中は曖昧さで成り立っているのかもしれない。
だが、果たして曖昧な法というものが許されるのか。』

法律について改めて考えるきっかけにもなる、大変良いミステリーでした。


下村さんは初めましてだったのですが、ああそうか!今年話題の『ネタバレあり 双紋島の殺人』の作者さまだったのですね。

他にも気になるタイトルがちらほら・・・下村さん、下半期読みます。


紋佳🐻

読書