『儚い羊たちの祝宴』


夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。

夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。

翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。

優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。

甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。

米澤流暗黒ミステリの真骨頂。


これまで拝読したことのある米澤さんの作品の中でも、個人的に最も「不気味で血なまぐさい」短編集でした。

伏線から読者には最悪のシナリオが頭をよぎる。

まさか、もしかして―

真綿で首を絞められるような息苦しさが続いた先に、できれば裏切ってほしかった展開が待っていた時の絶望。

あるいは、想像をはるかに上回ってくる絶望展開。

大好きです。


『そんなこと出来るはずもない。
そんなのはただの物語だ。
ただの物語が、胸を離れない。』

こういう文章のつなぎ方も痺れます。

破滅に向かって行く不協和音が、心地良い。


千街晶之さんによる解説のこの部分―

『米澤作品は基本的に、人生は一度きりであり後戻りは不可能という前提のもと、その中でサヴァイヴァルを望む人々の物語だ』

米澤穂信さんをよく言い表しているなあと思いました。

生き残るために、最悪のシナリオを選択していく、ハッピーエンドなのにバッドエンド。

そういうのが好きな人はぜひ米澤さんを読みましょう。


上流階級の子女たちが集う「バベルの会」という名の読書サークルがゆるやかに繋いだ五篇。

どの短編も、ラスト一行に綴られた台詞に身の毛がよだつ読書体験ができます。

ぞっとして、涼しい気分になれる、夏におすすめしたい暗黒ミステリ。


#儚い羊たちの祝宴

#米澤穂信


紋佳🐻

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