『波』2023年5月号


7月になってしまったけれど、5月号をば。


高嶋政伸さんの「おつむの良い子は長居しない」(不定期連載)。

いつも、俳優としての人生について、芝居の奥深さについて綴られているので、とても楽しみにしているのですが、今回は藤山寛美さん(そして笑いの芝居)についてのお話。

松竹新喜劇という舞台で、どんどんアドリブを繰り広げる藤山寛美さん。

『しかしそのアドリブは、お侍さんを演じている時はお侍さんしか言わないアドリブ、お魚屋さんを演じている時にはお魚屋さんしか言わないアドリブ。
そこに藤山寛美という人間は入ってこない。』

『本当に喜劇を演じるには、全身全霊をかけて役に取り組まないと、気持ち良くなって、つい自分が出てしまう。
アドリブにも自分が出てしまう。』

なるほど、喜劇界の名だたるスターたちは、これが徹底しているなあと思い当たりました。

役に徹するチカラがあるからこそ、舞台の上で遊ぶことができるんですね。


永井紗耶子さんと神田伯山さんの対談は、時代小説について。

永井さんが江戸時代を描くにあたって、伯山さんの奥様の影響があったというお話。

奥様をネットで調べたら、なんともバイタリティ溢れる素敵な方で。

(伯山さんだけでなく、ご夫婦で推せる・・・!)という心境になりました。

「忠臣蔵」は、「忠義の物語」と構えすぎず、「人と人のすれ違いについての物語」と捉えると、現代人でも理解しやすい。取っ掛かりやすい。

エンタメを、わかり易く提供するって、必要なことですね。

芝居や娯楽について考えた、5月号でした。


紋佳🐻

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