『六畳間のピアノマン』


働くことを通して生きるとは何かを問う。

命と仕事の6つの物語。

ブラック企業の同期三人組。

早朝から深夜まで働き会社に泊まり込む毎日。

疲弊しきった三人はある日深夜の居酒屋に行く。

一杯のビールで人間らしく笑いあった三人だが、極悪上司の壮絶な追い込みにあい―


とても、良かった。

いやひさしぶりの大ヒットです。

出会えてよかった一冊でした。

働くということは、こんなにも辛くて厳しいのか、という絶望を突きつけられながらも、仲間と出会い、うまいビールをあおって(どの登場人物も、本当においしそうにビールを呑む!)、つかの間、人間らしく暮らしていく―そんな物語たちでした。


登場人物たちの人生が、少しずつ繋がり、重なっていく様子は、私も好きな形式で。

青山美智子さんが好きな人には全力でおすすめします。


パワハラによって、上司に洗脳、支配されていく様を見るのは、自分も思い当たる過去があり、辛いものがありましたが、でもこの物語をたのしむことが出来るということは、もう過去として受け止められているな、という確認にもなりました。

逃げてよかった。

だから、この本に込められた「逃げて」というメッセージに、心から同意します。

パワハラ、モラハラを受けたことのある人は過去の傷を抉られる覚悟で・・・

それでも、人間が好きな人、ビールが好きな人には、ぜひ読んでほしいです。


大事なことだからもう一度言おう。

出会えてよかった一冊でした。

ピアノマンを聴きながら読了。


紋佳🐻

読書