『ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ』


ロシア文学の研究者であり翻訳者である著者が、自身の留学体験や文芸翻訳の実例をふまえながら、他言語に身をゆだねる魅力や迷いや醍醐味について語り届ける。

「異文化」の概念を解きほぐしながら、読書体験という魔法を翻訳することの奥深さを、読者と一緒に“クエスト方式”で考える。

読書の溢れんばかりの喜びに満ちた一冊。


創元社の「あいだで考える」シリーズ。

四六判変型(横130×168mm)のデザインが、とにかく可愛い!!!


前半は、言語学習者へのアドバイス。

「妖怪あきらめ」の倒し方、「停滞期」への対処方法など、言語学習者が陥りやすいスランプに対して、まるで某RPGのゲームのシナリオのように選択肢を提示しながら展開していく構成でした。

(ゲームの世界感にぴったりなフォントや装飾が素敵です。)


後半は、翻訳に関するお話。

『「ドリトル先生」は原文ではDoctor Dolittleで、ドゥーリトルなドクターつまり、あまりなにもやってくれないお医者さんのようだ。石井桃子いわく、「むりに日本流に訳したら『やぶ先生』」ということになる。』

ちょっと待って、いまさらですがドリトル先生ってそういうネーミングだったんですね。


翻訳するときは、その本を最低10回は通読するというプロ意識。

名倉さんの翻訳に対するプライドがびしびし伝わってきて、惚れ惚れするのでした。


紋佳🐻

読書