『夜明けのはざま』


『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!

3年連続、本屋大賞ノミネート!!


自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。

地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。

仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、
元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、
世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、
夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦・・・。

死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!


とある家族葬向け葬儀会社で働くひとたち、その周辺の人物たちひとりひとりのドラマが丁寧に描かれた1冊。

特にね・・・2つめの物語はぐっときました。

誰かのために、誰かが本気で怒る姿は本当に胸にくるものがあって、電車の中だったのに、涙が止められませんでした。

悲しいとか、感動したとか、そういうんじゃない涙って、ひさしぶりに流したかも。


『ああ、四十を半分も過ぎたひとがやっと知ることだってある。五十を超してやっと踏ん切りをつけられる過去がある。
ひとはいつ、大事なことに気付くか分からない。
気付けるその日まで、自分なりにもがくしかない。』

町田さん・・・ああ、町田さん。

ついていきます。


『その場にへたり込む。
カーペットはアンパンマン柄で、ドキンちゃんがわたしにウィンクしていた。
ドキンちゃんの隣の青いキャラクターの名前は、知らない。』

これ凄い。

独身で子どもがいないから、コキンちゃんを知らない―

こういう読み取りの余白を残した描写が、本当に素晴らしい。好き。


純也の気持ちにだけは、結局どこまでも寄り添えなかったなぁ。

結婚したくて、家族ごと愛したくて、それほどの覚悟がありながら、どうして彼女の仕事を応援できないんだろう。

これもまた、私がまだまだ青い証拠でしょうか。

若いってことでしょうか!(喜ぶところじゃない)


紋佳🐻

読書