『鎌倉うずまき案内所』


古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。

螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて・・・。

会社を辞めたい20代男子。
ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。
結婚に悩む女性司書。
クラスで孤立したくない中学生。
いつしか40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。
ひっそりと暮らす古書店の店主。

平成時代を6年ごとにさかのぼりながら、6人の悩める人びとが「気づくこと」でやさしく強くなっていく―。

うずまきが巻き起こす、ほんの少しの奇跡の物語。


青山さんお得意の、短編の枠を飛び越えて登場人物たちがささやかに、交流したりすれ違っているオムニバス。

今回は、「6年ずつ遡ったお話」がオムニバスになっていて。

あ、あの人だ!と分かるように、なっているけれど、その人の過去のエピソードが分かる仕組み。

これが、面白かった。

夢が叶ってる!と分かったり、同じこと言ってる!と微笑ましかったりして。

そしてその、時代を超えた登場人物のリンキングにも、ラストのラストでミスリード発覚・・・!!

これには、やられました。

全くにくいですねぇ、青山さんっ。


消費税が、3%→5%→8%→10%と推移していく時代背景が反映されていたのも面白かったです。

消費税って、大人も子供も、時代も関係なく、生活に関わっていくものですもんね。

着眼点が流石です。


それと驚いたのが、「昭和元年も12月25日から7日間しかなかった」ということ。

昭和64年が1月7日までの7日間だというのは当たり前に知っていたけれど、元年もだったんですね。

世の中、まだまだ知らないことがいっぱいだ・・・!


紋佳🐻

読書