『クマのあたりまえ』


「死んでるみたいに生きるんだったら、意味がないって思ったんだ」というクマの子。

どうしたら生きる不安が消えるのだろう?

不器用で、けなげで、一生懸命生きている動物たちがあなたにそっとよりそってくれる、心にひとすじの風を通してくれるような作品たち。

動物を主人公に「生きること」を考えさせる7編を収録。


もちろん、タイトルに惹かれて手に取りました。笑

出産直前まで、分娩室のベッドで読んでいた本。


『おれは生まれながらのころしやだ。
もちろん、どんなアオダイショウだって腹がへりゃ、相手をころして食う。
だが、おれは腹がへらなくてもやる。
それも食うように口からいくのではなく、まきつくのだ。』

激しめのことがストレートに書いてあるのに、ひらがなの多い文章で綴られているお陰で生まれるアンバランスさ。

より不気味な雰囲気が醸し出されていて、ぞくりとしました。

もちろん愛らしいお話もあります。


植田さんのモノクロなのに質感の伝わるイラストがとても素敵でした。


『子グマはいっしょうけんめい、考えながら言った。
「死ぬのは今でもこわいけど、死んでるみたいに生きるんだったら、意味がないと思ったんだ」』

死ぬのが恐い。

どうせ死ぬなら、なぜ生きている必要があるのか・・・

私がぐるぐるしがちな問いを抱えた子グマの行動に、共感しつつ、癒されました。


紋佳🐻

読書