『ポケットに外国語を』


「ポケットいっぱいの外国語」を未収録作品を多数加えて文庫化!

言葉への異常な愛情で、外国語本来の面白さを伝えていく、エッセイ集。

ついでに外国語学習が、もっと楽しくなるヒントもつまっている。

【目次】

第1章 鏡の国の外国語
第2章 レトロな語学も悪くない
第3章 言語学どうでしょう
第4章 わたしが大学教師を辞めたワケ
第5章 ことばへの異常な愛情


エッセイが好きで、言語学に興味のある自分にドンピシャな選書・・・!

何も言わずに「のだめ」の入った袋に忍ばせてくださったクラリネット吹きのお姉さまに感謝して。


『入門しやすいこと自体は別に悪くない。なにも別に悲壮な決意を固めて始めよとはいってない。
ただ、気軽に始めたものは気軽に止めてしまいがちなところが気になる。』

ああ、エレナの影響でスペイン語の教本を買ったものの1ヶ月続かなかった自分を省みます。


『だから焦っても無駄なのだが、これがなかなか分かってもらえない。語学に限り、魔法が効くとでも考えているのだろうか?
もう一つ。速く覚えたことは速く忘れる。』

学習者の少ない言語を研究、教えている人ならではの気づき、嘆きが止まりません。


「ワールドイングリッシュ」としての英語の在り方、とてもしっくりきました。

世界の共通語になったところで、話す相手はネイティブとは限らない。それどころか、第二外国語として学んだ人同士で、英会話をすることの方が多い。

そう思えば、日本人のカタカナ英語も、個性だと思って、恥ずかしがることはない。励まされますね。


『わたしは今日もいろいろな言語に触れている。最近スウェーデンの警察小説の翻訳を読んでいるのだが、これがとても面白い。読んでいるうちにスウェーデン語が聞きたくなって、教科書を眺めながら教材CDを流す。登場人物たちはこんな言語を使っているんだなあと、想像が膨らむ。
主人公は犯人を追ってバルト諸国のラトヴィアに赴く。ラトヴィア・・・。そういえばラトヴィア語の文法書がどこかにあったはずだ。
読みかけの小説を置いて、あの蔵書の山をごそごそと探す。そんなことをやっているから、犯人はいつまでたってもわからない。』

多言語を学習し、ものにしようと努力できる者は「チャラい」のでは、と考察されていましたが、確かに、移り気というか、好奇心旺盛な精神を持っている人がさまざまな言語にも興味を持つということはあるかもなあと。


学習指導要領へのコメントもパンチが効いていていい。

『わたしの授業のレポートでこのような文を書いたものがあったら、その表現力に対して最低の評価をつけるのだが、これは学習指導要領である。同じような語句が何度もくり返されているのも、法律文書と同様に、誤解の生じないための配慮として当然のものであり、コピー&ペーストをくり返して安易に分量を増やしているわけでは決してない。』

後半は英語教育について(英語で英語を指導する高校英語教育について)かなり物申してくださっていて。

また大学や会社で必要であるはずの英語スキルをTOEICやTOEFLの点数で判断するのはどうなのか等、自身もいろいろと考えさせられました。


紋佳🐻

読書