『ブックデザイナー名久井直子が行く 印刷・紙もの、工場見学記』


なかなか見られない紙ものづくりの現場を一挙公開!

人気ブックデザイナーである名久井直子が雑誌『デザインのひきだし』誌上を舞台に、5年以上に渡って取材してきた、本づくり・紙ものづくりの16の現場。

そこはどこも卓越した技が光る匠の現場だった。

なかなか見ることができないそんな現場を、ブックデザイナーならではの視線から徹底的に見学する。


製紙工場に関する書籍は読んだことがあるけれど、今回は「顔料をつくる工場」、「インキ工場」、「製本」から「流通」まで。

紙がつくられて、本がつくられて、流通していく現場に立ち会うことが出来る、紙好き、本好きにとってこの上なく感慨無量な一冊でした。


箔押し加工、そういえば、お菓子の箱やカレーの箱なんかにも使われているんだなあと、当たり前にそこにある技に、感謝。

ラミネート加工やニス引き加工などの表面加工も、実は身近。

ホログラムの転写なんて、何に使うのかしらと思っていたら・・・そうか、なるほど化粧品の箱!

初めからキラキラの紙なんてない。加工して、デザインされて、商品として並んでいる。

そんなことにも改めて気付かされました。


御朱印帳や卒業アルバムにも、匠の技が。

でももちろん、そういった職人技も受け継がれつつ、機械による製本の技術もどんどん進化していて。

本の表紙における、レーザー加工による表現の可能性は無限な気がしました。

電子化するだけが進化じゃない。

私はやっぱり紙派でいたい。


ブックケースとも呼ばれる、「製函(せいかん)」の現場にも感動。

函(はこ)入りの上製本は少なくなってきている(私個人が所有しているものも少ない)とはいえ、函入りの本はどれも、私にとって特別な本ばかり(『モモ』、『星の王子さま』、アクセント辞典等)。

『たとえば四六判といっても、本の厚みはそれぞれ異なるから、大断ちの際は、毎回、サイズの設定と調整が必要になる。ほんの1ミリ違っただけで、函としては使いものになるなくなるケースもあるのだ。
本が人間のカラダだとしたら、函はていねいに採寸して仕立てるジャケットのようなものだ。』

函の世界も奥深い・・・。


紙が、本が、ますます大好きになりました。


紋佳🐻

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