『闘いの庭咲く女 彼女がそこにいる理由』


私はずっと、私のためだけに存在する私の椅子が欲しかった― 一条ゆかり(漫画家)

よく知られている13人の女性たちが歩んだ道について聞いた、初のインタビューエッセイ。

つまずきにもめげず腐らず、自分らしい花を咲かせた女性たちに、初めから特別な人はいませんでした。

・毎日働いて、明日にバトンをつなぐだけで精一杯

・「自分なんて」とつい諦めてしまう

・人生が上手くいく人は自分とは違う人

・自分を信じることができない人

そんな女性にもぜひ読んでほしい1冊です。

■お話を聞かせていただいた13人

齋藤薫/柴田理恵/君島十和子/大草直子/吉田羊/野木亜紀子/浜内千波/辻希美/田中みな実/山瀬まみ/神崎恵/北斗晶/一条ゆかり

「週刊文春WOMAN」連載を加筆・編集したインタビューエッセイ!


人に歴史あり。

面白くて、夢中になって読みました。

『なんの期待もなかったメキシコ遠征で、北斗はスペイン語だけでなく、自分を魅せる術を学んだ。
構造上、メキシコの試合会場は上方の席からリングが見えづらい。
「一番上の人たちにも私のやってることを知ってもらいたかった。爪でひっかいてるのか、口で噛んでるのか遠くからでもわかるように、爪も唇も黒く塗りました。
一番相手にしなきゃいけないのは、特別リングサイドの席を買ってくれる人ではないんです。お金がなくても観に来てくれた、会場の一番上にいる人。
その人たちが面白かったと思えば、次は3000円の席を5000円にしてくれる。5000円の席を7000円にして、いつかは15000円の席で観たいと思ってくれる。
でもなにをやっているかわかんなかったら、面白くないという印象のまま帰ってしまう。」
帰国後、北斗は日本でもヒールターン(悪役転向)し、めきめきと頭角を現した。』
(北斗晶)

『「編集さんに『出る杭は打たれるって知ってる?』って言われたから、『出過ぎればいいんじゃないですか?中途半端だから打たれるんですよ』って返して。」』
『『才能がある人はいいわよね』と言われるけれど、それでは、才能がある私がこんなに努力してるんだから、あなたはどれだけしなきゃいけないんだと、一回だけ相手に言ったことがあります』
(一条ゆかり)


キャスティングがまず秀逸なのはもちろん、スーさんの目に見えないものを文章化する力が、またピカイチな本でした。

相手の言葉を鵜呑みにするのではなくて、表情や仕草といった、あらゆる情報から、相手のきもちを汲み上げ、本質に近づき、言葉に昇華させる・・・なかなかできる事じゃありません。


それまで抱いていた「表面的な成功者」としてのイメージが、がらりと変わるほどの衝撃エピソード祭り。

試行錯誤の先で失敗して終わり、成功して終わりでなく、深く深く考えられる人の多いこと。

客観的に自分を見られなければ、きっと「いまそこにその地位・居場所はない」のだろうなと思わされました。


自分は、自分を貫けているだろうか。

考え抜いて、生きているだろうか。

反芻しつつ、読了です。


紋佳🐻

読書