『あのころなにしてた?』
失ったことだけでなく、得たものにも目を向けてみよう。
感染者数の増減に一喜一憂したりと深刻さと楽観視がくるくる入れ替わる心理状況は、まるで洗濯機のなかで洗浄モードと脱水モードが繰り返され、生地がすり減っていく洗濯物みたいだ―。
コロナ禍による創作への思わぬ影響、家族との生活の変化、めまぐるしい世界の動きを、パンデミック収束への願いをこめながら綴った2020年の日記。
あの「ころな」にしてた?
というタイトルが秀逸。
台湾茶を嗜まれたり、中国語を独学で学ばれている綿矢さんだからこそ、中国語のサイトや記事から、リアルタイムの不安や恐怖を感じられていたのだなと、その様子が痛いほどに伝わってきました。
混乱の中にあって閉鎖的な日常の中で、「あのころなにしてた?」と、ほかの人の様子を知ると、その感じ方やスピードが、当たり前だけど全然違ったりして。
恋愛小説を書かれる綿矢さんならではの苦悩もあったりして、興味深かったり。
不安の渦に巻かれながらも、ある意味でポジティブな考え方もできる綿矢さんの表現に、ふとこころが軽くなったりしたのでした。
紋佳🐻
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