『歳をとるのはこわいこと?』


若い頃から、ずっと何かを怖がってきたイチダさんは、「怖さの正体って、一体なんだろう」とつくづく考えてきました。

それが、60歳を目前にして「あれ、そんなに怖がらなくても大丈夫かも」と思うように。

まっすぐ進んで答えが見つからなかったら、「斜めにジャンプ」してみて。

それは、前と違う「新しいものさし」を持って、自分の怖さや不安を計り直すことなのです。

イチダさんが「怖い」を少しずつ手放すトライ&エラーがつまった、笑顔で歳を重ねるための「自問自答」エッセイ!

仕事、健康、家族、介護、更年期・・・

なんだか心配ごとだらけの人生後半戦を助けてくれるものとは。


誰かが良いと言っていたドラマ、音楽、文章を、食わず嫌いせずに接していく、その柔軟さがとても素敵なイチダさん。

ご自身では「でもどうせ〇〇でしょ?」と、斜に構えていたとか、毛嫌いしていたなどと綴っているけれど、それでも最終的には、自ら知らない世界へ飛び込むのだから、偉い。


私は、あまり物事をよく考えずに行動するばかりに、周りの人を振り回しながら生きてきたのですが、大人になってもその行動の癖は抜けず。

なのに視野だけは広がって、自分の言動の浅はかさに自己嫌悪を繰り返して・・・

そんな自分でも、歳をとりながら試行錯誤していけばいいのだと肯定的なきもちになれる、一田さんのエッセイがだいすきです。


『人が人のことを思う。その見えない「風」のようなものは必ず伝わって、人を動かす』

『どんなに探しても考えても答えが見つからなかったら、答え探しをやめてみる』

『「私が」という主語を外してみたら、新しい幸せのかたちを見つけられる』

いろんな〈こわい〉を受け止めてくれる一冊。


紋佳🐻

読書