『ランチ酒』


『犬森祥子には、ランチの店を選ぶ、明確な基準がある。

酒に合うか合わぬかだ。』

おいしいごはんをモノローグで解説してくれる作品はいろいろあるけど、

この作品はなんといっても『お酒との相性』を食に求めているところが素晴らしい。

実際に東京に存在するお店を取り扱っている(店名は出していませんが特徴で分かります)ので、「行ってみたい!」と思わされます。


でも、この作品、ただのグルメ小説じゃないんです!

バツイチアラサー女子が、自分と向き合って、懸命に生きていく姿が生々しく、それでいて颯爽と描かれていて、「これは本当にエッセイでなく、小説なんだろうか」と思うくらいに、あっという間にその世界に飲まれてしまいました。


各章が「第一酒」「第二酒」・・・「第十六酒」と続くのも粋でいい。


『―私は生きているし、健康だ。元気出そう。へこたれてなんかいられない。』

食べること、呑むことは、生きること。

それがびしびしと伝わってくる物語です。


控えめに言って、かなりおすすめ。

オトナ女子にも、グルメ男子にも。

読書