『イクメンの罠』


「父親から怒られたことがない」子どもが増えている―。

上辺だけを真似た欧米流子育ての導入は、日本の家族をどのように変えたのか。

教育心理学者が、父性機能の低下と自立できない子どもの増加に警鐘を鳴らす!


『「自分のことで精一杯だから子どもはいらない」という配偶者を説得して産んでもらった。だから、子育ては積極的に、やっていくつもりだったし、実際に世間の多くの父親と比べたら、かなり子育てに携わってきたと思う。』

という榎本さんが、男性も育休をとりやすいようにと法までもが改正されたイクメンブームのいま、父親としての育児の関わり方について再考を促す一冊。


イクメンの「ブーム」、「義務化」に多くのメリットがある反面・・・

・持ち場があるような職業(インフラ関係・医療関係・教育関係など)によっては、育休をとりにくい場合もある

・様々な理由によって「父親がいない家庭」への配慮がもっと必要

・育休を取得した夫が、「取るだけ育休」で育児に全く参加せず、夫婦仲が悪化、離婚に至るケースも少なくない

などもあるため、あらゆる事情を考慮しながら各家庭に合ったバランスをとる必要がある、ということでした。


また小学校での暴力件数が増加し続け、ついに中学・高校を上回り、2019年には高校の6.6倍に至ったというデータには驚きました。

保育園・幼稚園からの移行が難しい「小1プロブレム」というのが問題になっていることは小学校に勤める母からも聞いていたけれど。

「自身をコントロールする力(忍耐力)」、「自己中心的でない考え方」を養わせるのは『幼少期からの親のしつけ』であり、その際「何でも許し包み込む母性機能」ではなく、「社会的・文化的ルールを認知させる父性機能」が必要なんだそう。


『元来日本の親は子どもに甘く父性機能が不足しがちなため、共同体が子どもを一人前にするために厳しく鍛える機能を担っていた面がある。』

近所のおばちゃんだとか、友だちのお母さんだとか、しつけの一端を担ってくれていた人たちとの関わりが希薄になったいま、家庭で何とかしないといけないということもよく分かります。


しつけることと、叱ることに、虐待とは混同せずに向き合うこと。

「ほめる教育」がもてはやされているけれど、甘やかすだけでは駄目、という一言に尽きます。


紋佳🐻

読書