『斎藤隆介童話集』


『モチモチの木』などでお馴染みの、斎藤隆介さんの童話集。

オノマトペが散りばめられた物語は、とても生命力にあふれていて、どこか詩的。


秋田の方言はあたたかくて、まるで子守歌。

土や木のかおり、川のせせらぎや鳥のさえずりがきこえてくるようです。


作品の多くが自己犠牲を扱ったもので、子どもの頃に読んだ時は何ともなかった『ベロ出しチョンマ』も、いま、改めて読み返すと、涙があふれて止まらなくなるのでした。


決して裕福ではないけれど、

自然とともに一生懸命に生きている、思いやりにあふれた人たち。


昔ばなしや民話に触れる度に、

『なんて自分は心が貧しいのだろう』

と省みます。


斎藤隆介さんは、私が生まれる前に亡くなっているので、遠い遠い存在でしたが、

「ユーミンを好んで聞いていた」と知った途端に、温もりを感じられるほど近い存在になりました。



紋佳🐻

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