『老人と海』


人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない。

ノーベル文学賞とピューリッツァー賞を著者にもたらした、ベストセラーにして世界文学の金字塔。

文庫累計500万部突破の名作、50年ぶりの新訳刊行。

八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。

やがてその釣綱に、大物の手応えが。

見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが―。

自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。

著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。


ずっと読みたいと思っていて、ようやく手に取りました。

まるで1本映画を観たかのような充足感。

刻一刻と変化していく海の様子、
あるがままに生きる海の中の生き物たちの描写、
老いた人間の成熟した様子と弱さ―

「ただ老人が漁をしているだけの話」という前情報の通り、老人のモノローグと独り言によって、淡々と進んでいく物語ですが、なぜか惹き付けられたままずっと読み進めてしまう力が、文章から溢れています。


孤独な(網にかかった巨大魚と一緒なので、ある意味では孤独ではない)中、ひとりでどのように海の上で生き延びるか。

そのサバイブ感に手に汗握りつつ、先が気になって読み進めるのをやめられない。


名作と名高い理由のよく分かる作品でした。


紋佳🐻

読書