『狙われた羊』


カルト宗教は、心を奪い、カネを奪い、家族を壊す。

カルト教団によるマインドコントロールの恐怖と、悪辣な集金システムを描いた名作フィクション、緊急文庫化!

最近は浮気調査ばかりしている探偵の牛島のもとに、奇妙な依頼が舞い込んできた。

「人さらいはやってもらえるんでしょうか」

依頼人の息子は、突如連絡を絶ったのだという。どうやら、あやしげな団体に深入りしているらしい。

「厄介な仕事」と踏んだ牛島は当初依頼を断ったが、秘書の坂巻に説得されて調査を開始。

すると、依頼人の息子は、近年様々な問題を起こしているカルト教団に入信していることが判明した―

世間を騒がすカルト教団、そして家族を取り返すために戦う人々を描く!


2022年7月8日、元首相銃撃事件が起こり、世間に衝撃が走りました。

その後『カルト教団』がテレビやネットで取り沙汰されるようになり、30年ぶりに緊急文庫化されたのがこちらの作品。

出先で本を読みきってしまい、電車乗り換えの短い時間の中、衝動的に手にした一冊でした。


『向こうに騙す気があれば、気づいたと思うんです。
でも、善意だけの情熱には負けてしまうもんですよ。』

ひとはどのようにして入信させられてしまうのか。

どのようにコントロールされ、世間から切り離されてしまうのか。

また、関係者はどのようにして説得し、抜け出させるのか―。

さまざまな登場人物を通じて、ハッピーエンドも、バッドエンドも織り交ぜながら描かれた大作でした。


「不安を煽ることで高価な壺や印鑑などを購入させる」という霊感商法(開運商法)の、気持ち悪さときたらありませんね。

「地獄に堕ちる」だの、「身内が不幸になる」だのといった、脅しによるマインドコントロール。

「自分が幸せになるため」、「家族を幸せにするため」といったポジティブな感情で支配する手口は、卑怯そのものです。

普段ワイドショー等を視聴していない私は、カルト教団について、ほぼ無知だったのですが、

「知らないから恐い」ではなく、「知ったから恐い」存在に変わりました。


もしも自分の子どもが入信してしまったら・・・。

最近はどんなら本を読んでも、「親目線」になってしまう私です。


紋佳🐻

読書