『ハーレーじじいの背中』


真理奈は進路に悩む高校三年生。

母方の祖母である清ばあは惚けが進み、父とその両親は家でゴロゴロ。

友人との三角関係にまで巻き込まれた真理奈の前に、母方の祖父である晴じいが愛車ハーレーに乗って豪快に現れた。

晴じいに連れ出された真理奈の旅の行方は!?

人情ものの名手が涙と笑いに包んで贈る家族小説の傑作!


見つけたらすぐに手に取る坂井希久子さん。

諸々が落ち着いて、ようやく読書時間が取れるようになってきた私を、心地良いテンポで誘ってくれた一冊でした。


『こんなことを三十年も続けているなんて、きっと恩返しの先輩である鶴もびっくりである。』

こういう表現が、坂井さんの文章が好きな理由のひとつ。


『私たちは毎日イライラしていて、無意味でささやかな反抗を繰り返す、どこにでもいる十代だった。』

眩しくて、こそばゆい、そんな瑞々しい高校生の青春が描かれています。


少子高齢化による若者への負担、
限界集落に広がる美しい光景・・・

行き詰まった現実の中、一生懸命自分と向き合う主人公の姿に、自分の過去を振り返らずにはいられませんでした。

そんな時代が私にもあったなあと、
懐かしいきもちで、胸がいっぱい。


紋佳🐻

読書