『ディック・ブルーナのデザイン』


究極のシンプル、絶妙な配色、繊細な構図―

ブルーナ・デザインはこうして生まれました。


近ごろ雑貨屋さんで見かけないことはない、ディック・ブルーナのかわいいイラスト。

ちょっぴりレトロで、シンプルな美しさは、大人が持ち歩いても可愛い。

私も「こぐまのボリス」がだいすきです。


出版社の社長を父から引き継ぐことを断って、デザイナーとして生み出した若きブルーナの作品は、写真を使ったコラージュ、モンタージュもあり、試行錯誤、努力、チャレンジの跡が伺えます。

のちにデザイナーをやめ、アートディレクター、絵本作家へと転身を繰り返す姿には、自己表現の場を追い求め続けた情熱を感じますね。


世界をわずか6色で描く、「色彩にも究極のシンプル化を求めた」ブルーナさん。

その色は、ブルーナ・レッド、ブルーナ・ブルー・・・などと呼ばれていて。

色を見るだけでブルーナを感じることができます。


『ゆきのひのうさこちゃん』を幼少期に読み聞かせてくれた母。

文章を諳んじることもできるくらい毎日、接していたその本のデザイン、色、イラスト、今でもよく覚えています。

私の切り絵が、太い線に囲まれた、簡略化したイラストの、鮮やかな色紙を使った作品に落ち着いたのも、母による幼児期のブルーナ教育の賜物かもしれません。


『ふたつの点と×印さえあれば、世界中のこどもたちは、それがだれだかたちまちわかる。』

大人になったいま、改めてブルーナデザインの良さが身に染みるのでした。


紋佳🐻

読書