『アルジャーノンに花束を』
幼児なみの知能のため、みんなからバカにされてきたチャーリイ・ゴードン。
頭がよくなる手術を受けた彼は、ついに天才へと変貌する―
知を求めさまよう青年がやがて知る、ほんとうの愛とは。
心の成長を描く不朽の名作。
ファン必携の愛蔵版。
あまりにも有名なベストセラーですが、読んだことがなかったので拝読。
『ぼくはこれ以上知りたくなかった』、『知るのが恐ろしかった』―
知らなければ、幸せだったのか。
知ってしまうことを後悔するところから、さまざまに感情が変化していく心理描写に圧倒されました。
認められたい、好かれたい、ただその願いを叶えたいだけだったのに。
孤立していると知らずに孤立していた彼が、孤独を知り、さらに孤立していく。
その先に待っているものは何なのか・・・
読み進めること自体が、ある種の恐怖でした。
『私は、母が笑うのを見たかった、私が母を幸福にできる人間になったのだということを知ってもらいたかった。私は生まれてはじめて母の口もとに笑いを運んだ。』
自分を捨て、過去がフラッシュバックしては徹底的に苦しめる存在である母親に、それでも、どうしても愛されたい、褒められたい。
そう願ってしまう「子ども」という立場の弱さに胸が張り裂けそうでした。
『私が彼女を許さなければ、私が得るものはなにもないだろう。』
純粋すぎて。ひたむき過ぎて。
涙が止まらない。
今回どの版を読もうか悩んで「愛蔵版」を選んだのですが、確かに『日本語版への序文』は巻頭に付けて欲しくなかった。
せめて、巻末にお願いします。
最後まで読むと、本のタイトルの良さが、余韻とともに染み渡りますね。
色んな意味で、展開には裏切られました。
読んでよかった。
紋佳🐻
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