『県庁おもてなし課』


とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。

若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、人気作家に観光特使を依頼するが、しかし・・・!?

お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の奮闘が始まった!?


『「(略)田舎での交流が欲しい人は民宿を選ぶ確率が高いろうし、上げ膳据え膳で快適さを重視するなら旅館やホテル、ロッジを選ぶ人は一番手強いにゃ。
建物を丸ごと借り切る形は一見干渉を嫌って積極的やないように見えるが、飯の支度から風呂焚き掃除、滞在中の生活はすべて自分で面倒を見にゃあかん。
そのつもりで来るがやき、干渉を好まんかは置くとしても、一番『田舎』を満喫するつもりに変わらん。」
ああそうか、干渉を嫌うからといって旅に意欲的でないということにはならないのか―と掛水は今更ながら気がついた。』

どうすれば高知県の観光業が盛り上がるのか・・・

私もすっかり会議に参加しているきもちになりました。


『まあ、自治体というもんは効率よりも公に言い訳が立つことを優先せなぁいかん組織よ』

登場人物と一緒に、やきもきしたり。

慎重であること、公平であること、万人に受けること・・・

公務員の仕事は大変だなぁと、読んでいるだけで胃がムカムカしてきそうでした。


『高知のセールス下手は一朝一夕に何とかなるもんじゃないでしょ。』

茨城も地元の魅力に対して、宣伝が得意ではないので、読んでいてとても身につまされます。


「なぁ、いつか多紀ちゃんって呼んでいい?」
「いつかって、いつですか?」
「・・・・・・もうちょっと俺がカッコよくなったら」
せめてもう少しあがいてから。
俺が憧れるあの人たちに、もっと恥ずかしくないようになってから。
「待ってますから、急いでください」

有川さんらしい軽快なテンポの会話劇に笑わされ、ラブコメ的要素にはキュンキュンしました。

そしてこの恋路のラストが、ずるい。

鳥肌が立って、涙が溢れてきました。

ひさしぶりに、夫にもおすすめした、お仕事&恋愛小説です。


紋佳🐻

読書