『別れの色彩』


振り返ると、そこに忘れえぬ「あの日」の色がある。
ドイツのベテラン作家の円熟作。

年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れへの後悔、そしてその本当の意味を―。

男と女、親と子、友だち、隣人。

『朗読者』で世界中の読者を魅了したドイツの人気作家が、「人生の秋」を迎えた自らの心象風景にも重ねて、さまざまな人々のあの日への思いを綴る。

色調豊かな紅葉の山々を渡り歩くかのような味わいに包まれる短篇集。


『波』3月号で紹介されていて、読みたくなった1冊。

ドイツの人気作家さんの短編集だったのですが、ドイツ文学の香りを感じる、人間の普遍的な悩みや成長をテーマにした物語ばかりでした。


どのお話も、主人公の心の葛藤から始まり、それからその原因や理由に思い至り、自分を見つめ直し、整理していく・・・

哲学的だけれど、身近な、共感できるカジュアルさもありました。


一見、説明が不足していると思われそうなほど、削ぎ落とされた会話劇。

余韻の中、静かにその空白を埋める時間が、「大人の読書」を楽しむ時間のように思われて、また普段読んでいる本とはひと味異なる読書体験となりました。


お国柄なのか、時代なのか・・・

日本の小説って本当に親切なんだなあと。
(どちらが良いとも好きともいわない)


紋佳🐻

読書