『ふしぎ日本語ゼミナール』


漢字、ことわざ、語源などの日本語の知識を増やすのもいいけれど、日頃使っている日本語を見つめ直してみると、楽しい発見がたくさんある。

「一日おき」と「二四時間おき」はどう違うのか、スイカは野菜か果物か、など、気にしたことはないけれど、気にしてみると面白い日本語を取り上げ、あえて深く考察する。


芦田愛菜ちゃんがオススメしていたので手に取りました。


『桃太郎の犬、猿、キジの性別は?』の話。

『どれも雌雄が決まっていないのに、なんとなく犬、猿は雄、キジは雌の感じがするという、若干の食い違いはあっても、老若男女が同じイメージを持つことが私たちはあるようです。(略)
たとえば、狐を日本では雌と答える人が多いのですが、中国では雄だと答える人が多い。狸は日本だと雄、中国だと雌と答える人が多数います。
これは言葉の関係ではなくて、文化の関係です。私たちの感じ方や価値観が、見たものに投影されて生じているからです。』

『アメリカで生活していた当時、息子はまだ幼かったのですが、わざと英語を教えず、この子がいったいどんな英語を最初に覚えるかなと見ていたことがあります。最初に彼が覚えた英語は「NO」という言葉でした。
私の知人の中国人は日本で子どもを育てていますが、そのお子さんが最初に覚えた日本語も「だめ」という言葉だったそうです。(略)
「NO」ということ、つまり否定するということは、言葉でしかできません。
「本がある」ということは見せればわかります。「本がない」というのは、言葉でなければ伝えられず、理解することもできません。
否定ということが言葉の最も本質的な働きの一つなのではないかと私は思います。』

言語学で扱われるようなさまざまなトピックについて、Q&Aの形式でやさしくまとめられた良書でした。


知識として知っているとかっこいい、言葉に関する雑学ではなくて、普段は疑問にも思わないけれど、そういえばどうしてだろう、というテーマに着目したい。

そんな金田一先生の「生きた言葉」を愛する気持ちが伝わってきました。


紋佳🐻

読書