『たのしい路線図』


路線図を眺めて、ただ「いいねえ」って言いたい!

普段何気なく目にしている路線図は、よく見るといろんなデザインがあって面白い。

本書では、路線図好きの著者ふたりが集めた、日本全国の鉄道路線図を約200点収録!(※運賃表、停車駅案内も含む)

じぃ~と眺めているうちに、自分の中にある“路線図愛"が目を覚ます!?


世界中の路線図に影響を与えたロンドンの地下鉄路線。

そのデザインを手がけたのは、当時電気製図技師としてロンドン地下鉄に勤めていたハリー・ベッグ氏で、当初は余暇の中での個人的な活動として作成したというのが、偉人エピソード感満載で素敵。

そして日本の地下鉄路線が、ハリー・ベッグが作ったような「縦・横・斜め45度の直線」のダイアグラム型でデザインされたきっかけは、当時東京藝術大学の学生だっだグラフィック・デザイナー河北秀也氏の「卒業制作」だったというのも驚きの歴史!

2×1.5メートルのボード上で、新宿駅を1ミリずらすと、北千住付近まで影響が出るという大変な作業で、結局卒業制作には間に合わなかったものの、完成したものを持ち込んで、採用されたのだそう。

すごい。


ロンドンにしても日本にしても、初めは「白地図」の上に路線を描いていた路線図。

でも情報を削ぎ落として、簡略化するからこそ、伝わりやすいんですね。


駅構内のデザインルール統一も、実は最近と知り新鮮な気持ちに。

1970頃、次々に新しい地下鉄が登場したばかりの頃は、「企業の広告の下に、ひっそりとくっついている」ような案内表示だったのが・・・

「緑は入り口、黄色は出口」

といったルールで統一。

確かに、地上出口の案内は黄色いぞ!

と、写真を見ながら興奮しました。

「周辺地域地上地下関連図」も、改札を出たところに必ずありますね!

駅周辺の地上の様子がわかる地図のお陰で、何番出口から出ればいいのかがわかる。

何度助けられたことか。

こういった施策によって、「1日5千回」といわれた駅員による道案内が半減したのだとか。

駅員さん、いつもお疲れさまです。


全国の私鉄がつくっている路線図も、楽しい。

福岡の地下鉄路線図に使用されている、日本の駅で初めて採用した「シンボルマークシステム」(県や市町村のマークのようなものが、各駅にある)は、とっても可愛らしい。


『都営大江戸線の路線図を丸くした人』、デザイナー・大西幹治さんのインタビュー記事では、その誕生秘話を読むことができます。

これがまた面白くて!

新しい路線が開通する度に、手を加えられ、掲示場所によって、どんどん変化していくらしく。

大きいものばかりじゃなくて、車両のドア上バージョンを作ったときのエピソード。

『あの路線図を単に上下縮めればいい、というわけにはいかないので、全部イチからつくり直しました。
しかも浅草線、三田線、新宿線と大江戸線では、車両のサイズが違うんです。大江戸線は車両が小さいから、それだけ掲出スペースも小さくなる。
横はまだしも、天地の幅が絶望的にないですね。』

たった1ミリ新宿駅をずらしたら、北千住の方まで影響するという河北氏のエピソードを読んだ後にこのエピソード・・・気が遠くなるかと思いました。


興味があって手にした本ではなかったけれど。

路線図・運賃表の歴史、奥深さに、わくわく。

車を使っての旅行が多いけれど、今後は出先で、路線図へのアンテナを、張って行きたいなと思います。


紋佳🐻

読書