『一九六一東京ハウス』


六十年前の団地体験で賞金五百万円―って、これ現実!?
昭和と令和が交錯するイヤミス新次元!

賞金につられてリアリティショーに集まった二つの家族。
古き佳き時代であるはずの昭和の生活は、楽じゃないどころか、令和の今より地獄の格差社会。

お気楽バラエティのはずが、外野も巻き込みどんどん不穏になっていく現場は疑心暗鬼で大荒れの末、まさかまさかの超展開。
次々と起こる惨劇は虚構か、現実か。


〈リアリティーショーとは〉

整形やダイエットなどの『変化』に密着するもの、
アイドルや俳優のオーディションやデビューまでの『育成』を追ったもの、
男女複数人を集め、その恋愛模様を撮影する『設定』もの、
大家族などの『日常』を記録したもの、
広い意味ではドッキリもリアリティーショー・・・

なるほど、テラスなんちゃらとか、バチェラーなんちゃらとか、昔の番組で言うならピンクのバスで参加者を拾っていくあの番組も、
もっと言うとあの、街の人や芸能人をモニタリングする人気番組も苦手な私が、「どうしてリアリティーショーが嫌いなのか」、この本を読み進めるうち、その理由がわかったような気がしました。

つまりはショーとして、テレビ側の作為的な演出や編集が入る(のは仕方のないこととしても)、それが不自然に感じられるし、生理的に受け付けないんだなあと。


結局、「やらせ」でなかったとしても(やらせであったとしても)、出演者に役割が与えられれば、絶対的存在であるカメラが回った時点で、『その期待に応えよう』とする人間の心理が勝手に働いてしまう。その時点でリアリティーなんて嘘なんじゃないか、そうこの本が主張してくれていました。

近年の「リアリティーショー叩き」や、出演者の自殺事件などにも触れていたのもよかったです。


ここ最近の読んだ本の中では特に読みながらモヤモヤ、グラグラするイヤミスでした。

ただ、結局真実を知っているのは誰だったのか、というラストの、2転3転4転・・・は、個人的にはくどかったかなあ。


紋佳🐻

読書