『白いシャツは、白髪になるまで待って』


「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」

そう語るファッションエッセイスト・光野桃が綴る、年齢を重ねてからの、毎日役に立つ80のお洒落のヒント。


見開き2頁ごとに1編という、隙間時間に読み進めやすいエッセイ集でした。


『なにを着ているか、ということに注意が向かないほど、そのひと自身に惹きつけられる。それが本当に「似合っている」状態。服が、その仕事を十全に果たし、ひとそのものが魅力的に見えているということだ。
そのためには、服を決めて着続けること。
最初は少し背伸びかな、と思う服でも、いつしか距離が縮まってくる。服と着るひとの力関係で、服に軍配が上がっているうちは「似合う」効果はまだ出ていない。
着て、動いて、ひとに会って、普段の顔でいる。涼しくいる。
そのとき「似合う」はオーラとなり、全身から放たれる。』


『靴選び、そして足元のたたずまいは、着るひとの「知性」に属する部位。どんな靴を選び、どう組み合わせるか、それに時間とエネルギーをかけることは無駄ではない。
それは全身に影響をおよぼす、おしゃれの品性につながってくるから。』


『若い頃は誰しもこだわりが強く、それに翻弄される。欲も深い。もっとよくなりたいと努力もするが上ばかり見ているから苦しい。
けれど、その苦しさの中から、次第に手放すものが見えてくる。ひと様も自分も許すことを知る。すると、愛が満ちてくる。』


最近人生の大先輩のエッセイばかり読んでいるのは、「そのままで大丈夫よ」と、いまの自分を認めてほしいからなのかも。

・・・と、思い至る程には、読んでいてほっとするような、肩の力が抜けるような幸福感を味わえる1冊でした。


私も、可愛いおばあちゃんじゃなくて、かっこいいおばあちゃんに、なりたい。


紋佳🐻

読書