『風の万里 黎明の空 上:十二国記』


人は、自分の悲しみのために涙する。

陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。

祥瓊は、芳国国王である父が簒奪者に殺され、平穏な暮らしを失くし哭いていた。

そして鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で、苦行を強いられ泣いていた。

それぞれの苦難を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福を信じて歩き出すのだが―。


新しい登場人物が出てくる度にまずは「読み方」を覚えるのに必死になる十二国記ですが(え、私だけ?笑)、
3つの物語が巧みに絡み合ってゆく今回のお話は、「いま誰の、どこの国での話をしているのか」を把握しながら読むのにとてもエネルギーが必要で。


後半に差かかる頃には、それぞれの展開を頭の中で何度も何度もなぞって復習しながら読み進めました。
(でも読むのにエネルギーが必要な本、すきです。)


この回、名言多すぎるでしょう。
中でも最も好きだったのは、

『人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだからなのです。
苦痛を忘れる努力、幸せになろうとする努力、それだけが真に人を幸せにするのです』

これです。
身分が高く贅沢に暮らしていようと、貧しく毎日必死に暮らしていようと、
心のありようで幸にも不幸にもなれる。

そのことが突きつけられた上巻でした。



さあ、物語と登場人物を覚えているうちに、下巻読むぞ!笑


紋佳🐻

読書