『エミリの小さな包丁』
傷ついた心を癒やしてくれたのは、おいしいごはんとおじいちゃんだった。
恋人に騙され、仕事もお金も居場所さえも失った25歳のエミリ。
15年ぶりに再会した祖父の家に逃げ込んだものの、寂れた田舎の海辺の暮らしに馴染めない。
そんな傷だらけのエミリの心を救ったのは祖父の手料理と町の人々の優しさだった。
カサゴの味噌汁、サバの炊かず飯。
家族と食卓を囲むというふつうの幸せに触れるうちに、エミリにも小さな変化が起こり始め・・・
胃袋からじんわり癒やされる、心の再生を描いた感動作!
女子特有の空気の読み合いとか、
恋人に騙された時の恨めしいきもちと、それでも信じたいきもちとの揺らぎ合いとか・・・
森沢さんが描く女性の心の葛藤は、本当にリアルで、的確で、男性なのにすごいなあと。
『女って、単純だと思う。失恋をすると目の前が真っ暗になるけれど、その失恋を受け入れた瞬間から、人生そのものが新たにはじまるような気がしてくるから。』
うんうん、と共感せずにいられません、、!
『世界は変えられなくても、気分を変えることなら出来る』
『幸せになることより、満足することの方が大事だよ』
『すごい人にはなれなくても、いい人にはなれる』
などなど、素敵な言葉がたくさん散りばめられていて、読んでいてとっても励まされました。
風鈴職人であるおじいさんが作った風鈴が鳴る音の描写では、
凛。
凛。
と書かれるだけで、風にそよぐ風鈴が、「空白」を生みだしていて。
ゆったりとした時間が流れる海辺の街を、海風とともに体験できました。
各章に、おいしい料理が作り方から書かれている(それもさりげなく!)のが素敵で。
私も、何十年と大切に研いで使い続け、小さくなってしまった、というような包丁がほしいなあと、心から思いました。
あー、とってもすきな作品でした。
恋活中の人、人生にときめいていない人、自己評価の低い人、美味しいものが好きな人、自然に癒されたい人・・・
みーんなにオススメです!!
紋佳🐻
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