『銃・病原菌・鉄(上) 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』


アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。
なぜ、その逆は起こらなかったのか。

現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。

1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。

ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著!


大学の課題図書のような重厚感。

自分からはなかなか手を伸ばさないような(たとえ大学の課題図書になっていても買って満足してしまいそうな)本も、クラリネットのお姉さまからお借りすればちゃんと読みます。笑

そして、ちゃんと読むと面白いのです、こういう本は。
じゃあ学生の時もちゃんと読みないという(それはまた別問題。


民族間の文明のおこりの差はなぜ生まれたのか、その直接的な要因が解明されていない
(遺伝子的、生物学的に優劣が存在するという、正しくない解明ばかりが行われてきた)せいで、
一般的に、人類史における知識は欠落していて、さらに社会モラルの問題の放置に至っている、そんな導入が、とても明確で、わかりやすい。


ポリネシアの島々に散っていった「元々は同じ祖先を持つ部族」が、6つの要因(気候、地質、海洋資源、面積、地形、隔絶度)によって、さまざまな政治形態、生活様式を発展させていっていることを知れた章では、
「ポリネシアといえばディズニーの『モアナ』」のイメージがあった私ですが、いろいろな民族がいたのだなあと勉強になりました。


また、スイカ、ジャガイモ、ナス、キャベツなどの、野生祖先種は苦かったり、毒があったりする作物を、
品種改良の技術のない大昔の人たちが、「たまたま味のいい・大きい・無毒な」ものを食し、排泄場で芽をふいたために、栽培するようになった、
というような、「原始的な改良」(なんて面白い言葉!)を偶然行うことで、質のいい作物が育ってきた歴史がある、というのも面白いお話でした。


いくつもの仮説を立て、それらを一つずつ検証し、潰しながら論理を確立していく。

読んでいてきもちのいい文章でした。

下巻も楽しみです!


紋佳🐻

読書