『転職の魔王様』


この会社で、この仕事で、この生き方のままで―いいんだろうか。

若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説!

大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。

働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。

彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。

「仕事内容なんて何でもいいから、とにかく履歴書の空白期間を埋めたい。それが未谷さんのご希望ですか」

面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが・・・。


『必要とされる場所で働きたいんですか?
そうやって、自分の価値を他人の価値観に委ねるから、ブラック企業で扱き使われて壊れたら捨てられるんですよ。
自分の価値くらい、自分の価値観で測ったらどうです?』

「魔王」と呼ばれるCA(キャリアアドバイザー)の切れ味のいい台詞の数々に、登場人物たちと一緒になって、傷ついたり、励まされたり。

でも本当にやさしい人は、無責任にやさしい言葉をかけたりなんかしない、そんな物語でした。


転職が、ネガティブなイメージではなくなって、むしろキャリアアップのような、ポジティブな印象さえ与えるようになった昨今ですが。

「仕事を変えても、自分が変わらなければ、何も変わらない」

といったメッセージが伝わってくる、お仕事応援物語でした。


額賀澪さん、初めましてだったのですが、茨城県行方市のご出身なんですね!

さらに応援したくなりました。


紋佳🐻

読書