『ほどよく距離を置きなさい』


94歳の弁護士が説く、こんな時代だからこそ、知っておいてほしい人との「距離感」のはなし。

九州第1号の女性弁護士として福岡市に開業してから、おもに離婚や相続といった人間関係のもつれをほどいてきた湯川久子氏。

人の心は法で裁くことはできず、法廷で裁かれる「勝ち」あるいは「負け」が、人生の本当の幸せを決めることはない。


60年以上にわたってそれを実感しながら、法で裁くことのできない人間模様を目の当たりにしてきた湯川氏が、人間関係の極意をやさしく説きます。

やさしく、しなやかに、あらがわず、でも、流されず―。


多くの相談者が「話すだけで心が軽くなった」と信頼を寄せる湯川氏の生き様から紡ぎ出される人間関係を心地よくするコツ。

じんわり心に染みわたる1冊。


90歳を超えても現役の弁護士さんだという湯川久子さんの言葉は、どれもやさしく、芯が通っていて、読んでいて癒されました。


『人間関係の問題を抱えているとき、人は、自分の正しさを主張して、相手に勝とうとしますが、相手を打ち負かしたところで、何になるでしょうか。

一時の高揚感はあるかもしれませんが、相手を裁いたむなしさはずっと心の奥に残ります。

相手を打ち負かそうとするのではなく、心をほどいて、自分が幸せになるための選択をしてほしいと思います。』


『「話す」ことは、「離す」ことであり「放す」ことにつながる。

自分の内面にあるつらく苦しい思いも、話すことによって、一旦、自分から離れて行き場を得、解決の糸口が見つかる―』


『どんなに親しくても、ほどよい距離が必要。

その距離が、関係をやさしくする―』


『「子どもは成長する過程で、百粒を超える喜びと幸せを親に与えてくれるが、子どものことで傷ついた親は、百粒の涙を流す」と言います。

子どものことで苦労した親は、人として成長し、人にやさしくなります。』


『相手のよさは「ある」かどうかではなく、「見る」かどうか』


読み終えてすぐに、自分用に購入。

「やわらかくて、まっすぐな、この文章が好き」と、湯川さんにすっかり惚れてしまったのでした。


紋佳🐻

読書