『にぎやかな天地(上)』


熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい―。

謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。

その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。

この宇宙に死はひとつもない。
祖母の死について考え抜かれた言葉と、微生物の人知を超えた営みが織りなす壮大な物語。


「日本の伝統的な発酵食品」がたくさん登場すると聞いて、すぐに手に取りました。

発酵食品について学べるだけでもうれしいのに、そこに物語が絡んでいく、とても素晴らしい作品です。

我が家の手づくり味噌、醤油麹、ぬか床に住む微生物たちに思いを馳せ、彼らにますます愛着が湧くのでした。

いつまでもこの優しい、壮大な愛に包まれていたくて、
下巻を読むのが、もったいないようなきもち。


紋佳🐻

読書