『ウツボカズラの甘い息』


家事と育児に追われ、かつての美貌を失った高村文絵。

彼女はある日、出掛けた先で見覚えのない美女に声をかけられる。

大きなサングラスをかけたその女は『加奈子』と名乗り、文絵と同じ中学で同級生だというのだ。

そして文絵に、あるビジネス話を持ちかけるが―。

この再会は偶然なのか、仕組まれた罠か!?鎌倉で起きた殺人事件を捜査する神奈川県警捜査一課の刑事・秦圭介と鎌倉署の美人刑事・中川菜月。

聞き込みで、サングラスをかけた女が現場を頻繁に出入りしていたという情報が入る・・・。

事件の鍵を握る、サングラスをかけた謎の女とは!?

日常生活の危うさ、人間の心の脆さを圧倒的なリアリティーで描く、ミステリー長篇。


「下部組織(エダ)」、「警察(サツ)」、「事件(ヤマ)」、「犯人(ホシ)」、「前科(マエ)」、ルビのふり方が良いです。


『刑事をやっていると、人間が生きていくうえでなにが幸せなのか、と考えさせられるときがたびたびある。
高学歴高収入のエリートが、人間関係のもつれや愛憎の絡みから殺人を犯す一方、公園で円座を組み、笑い合って飲んでいる日雇い作業員がいる。(中略)
どんな境遇にあろうと、胸を張って笑える人生を送れる者が、幸せなのだ。』

刑事サイドで綴られたこの部分。

女性登場人物が「美を追求する姿」、「美に追い詰められる姿」に、後からじわじわと効いてきました。


柚月裕子さんは、初めましてだったのですが、第7回の「このミス」大賞を受賞されているんですね!

こちらは正統派な警察小説という感じがして、ストレートに楽しみました。

他の作品もぜひ、拝読したいと思います。


紋佳🐻

読書