『怪談小説という名の小説怪談』


深夜の高速道路で始まる怪談会、
子連れで散歩中に遭遇した呪いの物件、
夕暮れの学校を彷徨う幽霊、
断筆した先輩作家から預かった、語ってはいけない小説・・・。

古今紡がれてきた「怪談」の数々を、ホラーとミステリ両界の旗手が、更なる戦慄へと塗り替える。

精緻な技巧と無慈悲な想像力が現出させる、真なる恐怖を見よ!

「小説」ならではの企みに満ちた、著者真髄の七篇。


ミステリのような伏線回収もありつつ、ラストは『「ホラー」と呼ぶにふさわしい恐しさ』でまとめられたお話の多い短編集でした。

「ホラー」と言ってしまえば、何が起こってもおかしくない状況に、じわりじわりと、追い詰められていく恐怖。

どの短編も余韻が、ただのミステリとは違った・・・じっとりとしたものでした。


口コミサイトや、ブログ、雑誌、手記、ブログからの引用や、突然の独白、はたまた映像や音声データなど・・・
さまざまな媒体が織り込まれていて、新しかったです。
(ただ、リズムを崩されるのが苦手な方は、読み進めるのに苦労するかも)


私が好きな「恐怖」というのは、怪談・ホラーという分野ではなさそうだ、と認識させられた作品でした。


紋佳🐻

読書