『dele』


『dele.LIFE』の仕事は、誰かが死んだときに始まる。

死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除する―

それが、この会社の仕事だ。


新入りの真柴祐太郎が足を使って裏を取り、所長の坂上圭司がデータを削除する。

淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。


詐欺の証拠、異性の写真、隠し金―。

依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。

この世を去る者が消したかった「記録」と、遺された者が抱く「記憶」。

秘められた謎と真相、そして込められた想いとは。

「生」と「死」、「記憶」と「記録」をめぐる連作ミステリ。


高校生の頃、たくさん読んでいた本多孝好さん。
おひさしぶりでした。


ひとりに1台というスマホ時代になったいま、興味深い題材でした。

『死後、代理でデータを削除するビジネス』。

まるで現代にありそうな形ですが、その道に詳しい鳥さん(夫)から言わせると、あまり現実的ではないそうです。笑

それでも、ミステリに足る題材でした。


なぜ依頼人はデータを削除したかったのか、そのデータが示す内容とは何なのか。

死亡または昏睡状態にある『本人』が登場しない中、周囲の人間への聞き込みから真実を解き明かす短編集。

「どうやって怪しまれずに、依頼人に関する情報を、関係者から入手するのか」

その手口も、毎回面白かったです。


偏見ですが、本多さんの作品は、やっぱり「高校生くらいのときに読みたい」作品だなあと、どれを読んでも思います。

当時本多さんに出会っていた私、グッジョブ。


紋佳🐻

読書