『こんなにバイトして芸人つづけなアカンか』


慶應卒、吉本所属、芸歴20年。
僕はずっと手取り13万円で生きてきた─。

極貧生活を招いた時給90円の深夜バイト、笑いが止まらない超絶ラクな自治体仕事、金髪NGを突破する裏ワザ、二度と経験したくない飛び降りの後始末、宅配ピザチェーンをかけもちしたばかりにミスを連発した話など。

いまだブレイクを果たせぬ芸人が、やむにやまれず生業としてきた数多のアルバイト遍歴を綴るエッセイ集。


『波』で紹介されていて、即購入したものの、ずっと手付かずだったこちらの本。

役者(俳優・声優)の世界も、バイトをしなければ生きていけない、まさに同じ世界なので、読んでいて辛くなるかなと思っていたけれど。

ピストジャムさんのまっすぐな文章に、(こんなやつもいるんだから、頑張れ!)と言われているようで、なんだか元気になりました。


『吉本において、この若手芸人という言葉は非常に懐の深い言葉で、年齢、芸歴関係なく、売れていない芸人全般を指して使われている。
ちなみに僕は、芸歴21年目で44歳になったというのに、吉本の社員から育成芸人と呼ばれ、ずっと育成され続けている。
20年以上も育成するなんて、もしかしたら吉本の社員は僕のことをワインか何かと間違えているのかもしれない。』

『そんなにおもしろい?自分からしたら、めちゃくちゃ恥ずかしいことやねんけど。
芸人は、テレビで活躍している人を除けば、ほとんどみなバイトしている。
バイトだけで生きてきたなんて、売れない芸人からしたら突然のことだ。(略)
20年後に、編集のかたから「バイトのエピソード結構たまったんじゃないですか?続編いっちゃいましょう」と言われたらどうしよう。
芸歴41年、64歳の芸人が綴るバイト体験記。
そんなの書きたくない。
でも、その本はおもしろそう。ちょっと読んでみたい。』


同期がほぼ夢を諦めたり、廃業したことを思うと、バイトをしながらでも続けていること自体がスペシャルな気がする。

続けられるってことは、運がいいか、相当根気があるか、だと思うのです。


紋佳🐻

読書