『80歳のスパイス屋さんが伝えたい人生で大切なこと』


生きることは、食べること。
料理することは、愛すること。

福岡県久留米市に住む吉山武子さんは、40年前から「スパイス一筋」。

スパイス料理の教室を開いたり、スパイスやハーブの販売などの仕事を続けてきましたが、なんと、74歳でスパイス専門店を開きました。

小さいお店ですが、ランチで提供しているスパイスカレーは、持ち帰りも含めて売り切れになるほどの人気。

本書では、吉山さんのふだんの暮らしぶりや食生活、これまでの経歴などのエッセイと共に、スパイスを活用するアイデアやレシピも紹介しています。

高齢になっても輝き続けるシニアの生き方エッセイと、すぐ実践できて毎日手軽に作れる、体によいスパイス料理の情報が両方楽しめます。


我が家のカレーは、夫特製のスパイスカレー。

これまで様々なスパイスを試し、たくさんの方のレシピを参考にしながら、日々その美味しさを更新中の、お客さまにお出しするくらいの自信作。

そんなこともあって、自然と手に取った本です。


スパイスカレーブームのお陰で、現在はシャバシャバカレーも市民権を得てきたけれど。

40年前の当時、「市販ルーと違う」「これはカレーじゃない」と言われながら、スパイスカレーを広めてきた吉山武子さんの努力たるや。


「久留米市女性の翼」の活動の一環で、海外研修に行かれたのが50代のとき。

「スパイスを輸入している国の子どもたちに恩返しをしたい」と、インドの学校に、料理教室で得てプールしていたお金を寄付。

スパイスを中心に回る世界で、たくさんの愛を届けられている武子さん、かっこいいです。


お見合いで出会われた旦那様の愛が、至るところに散りばめられているところも素敵。

武子さんが悩んでいるときは優しく励まし、仕入れやスパイスの配合に手が回らないときは手伝って。

その時代の男性の価値観としては珍しく、働く武子さんを応援し、二人三脚でがんばる姿に、ご夫婦の固い絆を感じずにいられません。

『夫の愚痴を言う暇があったらたまねぎを炒めて』

まさに、名言です。


開店6周年の記念イベントでは、店頭でクラフトコーラ(武子さんにちなんで、タケコーラ!)を3日間無料で配ったり、
コロナもあって、冷凍カレーの販売を始めたり、料理教室だけでなくYouTuberとして動き出していたり・・・。

年齢を感じさせないエネルギッシュさ、これもスパイスの力でしょうか!


会った人を自然と笑顔にしてしまう。

武子さんこそが、関わる人たちにとっての、「最高のスパイス」なんでしょうね。


紋佳🐻

読書