『妊娠カレンダー』


姉が妊娠した。
つわりに苦しみ、家族に八つ当たりし、 母となる不安に苦しむ姉と接するうち、妹の心に芽生える不思議な感情。

姉を苦しめるモノから姉を妹は守りたいという気持ちと裏腹に、妹はやがて、めまいのするような悪意の中へすべりこんで行く。

出産を控えて苦しむ姉の傍らで、妹は鍋でジャムを混ぜる、その中には、ひそかな「毒」が。

家族の妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを、きらめく言葉で定着した芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。

謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ジミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。

透きとおった悪夢のようにあざやかな三編の小説。


小川さん好きなのにこちらを読んだことがないなんて私ってばファンを名乗る資格がないわ!ということで読みました。

どのお話も、穏やかな日常を送りつつもどんどん狂っていく主人公の醜怪っぷりが恐ろしかったです。

周りが狂っているのか、自分がオカシイノカ・・・混沌とした世界に読み手も引きずり込まれます。


でも本当は・・・描かれていない部分にこそ、底なしの闇が広がっている、そんな気がしてなりません。


紋佳🐻

読書