『廃用身』
廃用身とは麻痺して動かず回復しない手足をいう。
患者の同意の下、廃用身を次々と切断する医師漆原。
告発するマスコミ。
はたして漆原は悪魔か?
『破裂』の久坂部羊の衝撃的な小説デビュー作。

『「廃用身」という言葉をご存知でしょうか。介護の現場で使われる医学用語で、脳梗塞などの麻痺で回復の見込みがない手足のことです。』
からはじまる、しっかりとした「まえがき」。
『次ページの表は、日本在宅介護、総連合会の
「要介護者を抱える家族に関する実態調査」の結果です。これによると、介護者の約三分の一が、憎しみを抱いていると答えています。』
しっかりとした資料を挟みながら続く、医師目線の語り。介護業界の危機。
あまりに自然で、どこまでも現実的で。
もしかしてこれは実話なのではと、何度も錯覚に陥りました。
この感覚が何とも恐ろしく、読めば読むほどに冷んやりとしたものがこころを撫でる思いでした。
この医師が葛藤しながらも廃用身の切断ケアを進めていくなかで、少しずつ、しかし確実に確信を抱いていく様子も恐ろしく、
『最初は不安いっぱいではじめた「Aケア」でしたが、職員に背中を押されるようにして、徐々に軌道に乗りはじめたのです。』
じわりじわりと、後戻りできない世界に踏み込んでいく様子に、読者ものまれていきます。
前半とうってかわって、後半は編集者目線。
それまで信じてきた医師の善意や葛藤が、マスコミの過剰記事によりどんどん信じられなくなっていく体験もまた、恐ろしい。
何が真実で、何が嘘なのか。
真実をねじ曲げ印象操作を行うメディアへの風刺もたっぷりでした。
まさかこちらがデビュー作だとは。
その事実にまた震え上がるのでした。
一体どこまで、どのようにして、映像化されるのか。
5月公開の映画に、いまから戦々恐々としています。
紋佳🐻






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