『続・山女日記 残照の頂』


ここは、再生の場所。 NHK BSプレミアム「山女日記3」原作小説。

幅広い層に支持されたベストセラー、待望の第2弾。

「通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。たいへんだったと口に出せばいい。そこを乗り越えた自分を素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。」

『後立山連峰』
亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。

『北アルプス表銀座』失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。

『立山・剱岳』娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。

『武奈ヶ岳・安達太良山』コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。


日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。

頂から見える景色は、過去の自分を肯定し、未来へ導いてくれる。


最後に入っていた短編『武奈ヶ岳・安達太良山』は、二人の女性の「手紙」のやりとり。

湊さんっぽさ全開で好きでした!

それぞれの手紙に綴られた、波瀾万丈の人生は、バブルの崩壊、震災、コロナ禍・・・と、時代の影響を多分に受けていて。

第一作目の『山女日記』以上に、深みと余韻がありました。


『(略)それに、介護を終えたからって、じゃあ山に登りましょうって気分にもなれなかった。
よし、解禁! なんて割り切れると思う?
それって、我慢していたのを認めることになるじゃない。
自分の人生の一部をつらいものだったと決定付けてしまうことになるじゃない。
むしろ、山なんか登らなくても、人生は楽しいんだ、わたしは幸せなんだって証明してみたいじゃない。』

染みるなあ・・・。


登場する女性たちの、年齢の幅も広くてよかった。

実在する山々が登場するのですが、最近は「山小屋がお洒落カフェ化している」というのも興味深かったです。

美味しいスイーツや珈琲・・・日本はどこへ行っても(標高の高い山の上だろうと)美味しいものが食べられて、凄いなあと思いました。


紋佳🐻

読書