『月曜日の抹茶カフェ』
『木曜日にはココアを』待望の続編!
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。
その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、1度だけ「抹茶カフェ」が開かれることに。
ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶問屋の若旦那、
妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、
恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、
時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマン・・・。
この縁は、きっと宝物になる―。
人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心癒やされるストーリー。
『宮沢賢治の作品は、ひとクセある登場人物ばっかりだ。
弱さも醜さも愚かさも抱えた彼らの姿は、きれいごとがなくてなまなましい。
不条理でどこかさびしくて、でも清らかで豊かな自然の理。
恵みを受けながら畏れながら、自分ではどうしようもできない感情と対峙する。
そんな宮沢賢治の世界に、私は引かれてやまないのだ。』
宮沢賢治の作品を紙芝居で上演する女の子のお話、好きでした。
『「泣くんやない。よだかは、どんな鳥よりも美しいものになったんだ。なんでかわかるか。
自分の力で必死に空をのぼったからやで!」』
『よだかの星』の結末に涙した小学生の孫に、厳しく伝えるおばあちゃん。
その言葉から、おばあちゃんの生き方が伝わってきて。
その人が幸せなのか、不幸なのかは、結局本人以外が決めることじゃないし、本人次第で人生の結末の内容は変えられるんだな、と肝に銘じたのでした。
青山美智子さんお得意の「前の短編に登場した人物が、次の短編で主人公として登場するリレー形式」。
上に書いた女の子(孫)の話の次が、その祖母の話で。
『可愛いあまり、決して甘やかしてはいけないと思っていた。それで口うるさく言いすぎたかもしれない。
今さらもう、優しい言葉のかけ方もわからなくなっていた。』
自分の居場所のなかった祖母の、唯一の拠り所であった孫。
大切にしたい、息子夫婦を見返したいという一心で厳しくしつけてしまい、ずっとすれ違ってきた孫と祖母。
その厳しさが愛情だったのだと気がつくまで、時間がかかるのが家族、ですね。
1冊目『木曜日にはココアを』を読んだ読者にうれしいサプライズもあり、
後半からラストにかけて畳み掛けるように繋がる「いい話」にも心がじーんと痺れます。
ヒットメーカー青山さん、こちらも、悔しいくらいに素敵な本でした。
紋佳🐻
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