『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』


もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら―

ツイッターで発信され、ネット上で大拡散されたあのネタが、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石といった文豪から、星野源、小沢健二らミュージシャンまで、100パターンの文体にパワーアップして書籍化されました。

読めば爆笑必至の文体模倣100連発。

さらにイラストは、手塚治虫をはじめとした有名漫画家の模倣を得意とするマンガ家・田中圭一氏の描き下ろし!


小説、エッセイ、コラム、脚本、歌詞、インタビュー、週刊誌、対談、教材・・・さまざまな体裁の文章に触れることができます。

拝読したことのある作家さんたちは、(わかるわかる!)と、「その人らしい言い回し・文体」にワクワク。

拝読したことのない作家さんも、(へぇ、こういう表現をする方なんだ!)と、1~2頁という短さで、「合う・合わない」が判断できるのが楽しい。


『平成29年度 焼きそば高等学校 過去問題 国語』は、懐かしい受験時代を思い出させてくれたり、

『空腹に響く世界の名言100』の中の、

『沈黙を恐れず、五分間待てるものだけが美味しい焼きそばを食べられる。』

『孤独は人を強くする。ソースは焼きそばを美味しくする。』

が、好きすぎました。


坂口安吾もよかった。

『焼きそばを作ったのは誰であるか、私自身でありお湯であるか。
ソースをかけたときから焼きそばの歴史は始まるのではないのか。
ソースをかけるのは人間である。
焼きそばができたから食べるのではないのだ。
人間だから食べるのであり、生きているから食べるのである。』

ああ・・・好き!


あと、ひさしぶりの西尾維新さん(を模写した文体)にも痺れました。

あの、オチの文章に「丶丶丶丶」が使われる感じ!

ああ懐かしい。

読みたくなってきた。


まるでモノマネ芸人が、「本人はそんなこと絶対に言わないだろうけど、本人が言っているように聞こえる面白さ」を見せてくれるかのような、それの文芸版といった内容。

『文体模写』って、確かに特技ですね。

面白くて面白くて、大変楽しませてきただきました。

帯のコメントは、先日感動したばかりの尾崎世界観さん。

繋がっているなあ。

「好みも考えずに貸してごめんなさいね」と渡してくださったクラリネット吹きのお姉さまに、心からの感謝を。


紋佳🐻

読書