『マザーズ 僕には3人の母がいる』


特別養子縁組には、いまの日本が抱えるさまざまな社会問題が見え隠れする。

救いようのない不幸の連鎖を断ち切るための、一縷の望み・・・それがなんなのか、多くの母子を見守ってきたNPO代表の貴子は知っていた。

中京テレビ制作ドラマ「マザーズ」、「マザーズ2015 ~17歳の実母」完全ノベライズ版!


『一方、〇〇では―。』、『〇〇、△△に立っている。』
といったカットイン気味の場面転換が、いかにも脚本だったという雰囲気でした。

青山美智子さんだからというのもあって手にしましたが、やはり「脚本を小説化したもの」という大前提を頭に置いて本を開いた方が良さそうです。


第1章の主人公が、花屋を営む産みの母親に会いに行って、その正体は明かせないまま、育ての母に渡す花束を作ってもらうだけで終わるのだけれど、見送る産みの母親が浮べる涙に、思わず号泣。

きっと毎日、産んだ子どものことを考えていて、今頃は何歳になったとか、どれくらい背が伸びただろうとか、いっぱい考えていたんだろうなあって。

だからすぐに気づけたんだろうなって。


先日拝読した『産めないけれど育てたい』では、特別養子縁組で受け入れる側の両親のリアルを知ることができましたが、

もちろん産みの母親にも、また子ども本人にも、NPO法人のスタッフにも、人生というドラマがあるのだなと感じずにはいられませんでした。


その多くが、DVや虐待、貧困などと絡み合っている予期せぬ妊娠。

誰にも相談できず、日に日に大きくなるお腹は、彼女たちにとって恐怖以外の何物でもないはず・・・

と、いままさに大きなお腹を抱える私(来月出産予定)は胸が痛むのでした。


特別養子縁組によって、温かい家庭で成長することのできる子どもがひとりでも増えることを、こころから願って。


紋佳🐻

読書