『川のほとりに立つ者は』
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに―。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
はーやっと、読めました!
ずっと読みたかった。
「ADHD」と診断された人たちの中にも、様々な個性があり、決して一括りにはできないということや、「ディスレクシア(発達性読み書き障害)」について初めて知ることもでき、大変勉強になりました。
障害だと判断されたときの「絶望」と「安堵」、わかるような気がします。
障害だと認めたくないきもちもありながら、「名前がつくことで救われる」きもちもある。
名前があるかないか、で周囲からの印象が変わることも。
『「あのね、言っとくけどあんたが男を利用せずに生きていけるのは、あんたがわたしより優れているからじゃない。ただわたしより恵まれてただけ。
運よくまともな家で生まれ育って、友だちがいて仕事があって、運よく順調に生きてこれただけ。
ただちょっと運がよかっただけのくせに、偉そうに道端で説教する気?」』
終盤にかけて、言葉がどんどん鋭くなっていくのが清々しく、こころが震えました。
「行動がその人を形作るのだから、行動から判断すべき」理論と、「相手に寄り添って、知り得ない部分も慮るべき」理論については、どちらも受け止める余裕があったら理想だな、と思いました。
寺地さん、好き。
紋佳🐻
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