『ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活』


村上春樹、小川糸、三浦しをん、益田ミリ作品など300作品以上を翻訳!

韓国の日本文学ファンから、絶大な支持を得る人気翻訳家が、ユーモアたっぷりにつづる日常エッセイ。


これまでに翻訳した本は300作品以上!

30年にわたって、1ヶ月に1~2冊というペースで翻訳活動(日本書籍を韓国語へ翻訳)をされているクォン・ナミさんのエッセイ。

そのプロフェッショナルな翻訳の腕だけでなく、「訳者あとがき」が大人気というのも頷ける、親しみやすさ抜群の楽しい文章ばかりでした。


〈大学卒業後、東京で日本語を学びながら、原宿と両国のぬいぐるみ屋でアルバイトをしたこともある。
ドラマ『東京ラブストーリー』が大ヒットし、KANの『愛は勝つ』があちこちで流れていた年だ。〉

〈1995年に娘の靜河が生まれた。
その後、韓国と日本を行ったり来たりする生活を送っていたが、浜崎あゆみの「Voyage」がヒットした年に離婚した。〉

なんと日本人の感覚に寄り添った文章・・・!

日本文化への愛と敬意を感じました。


『翻訳書はたいてい原書のタイトルのまま出版されるが、たまにまったく違うものに変更されることがある。
「翻訳家が題名をこんなふうに訳した理由が理解できない」という書評を見かけることもあるけれど、タイトルは100%出版社によって決められるのです。
正直言って、私も内心「どうしてこんなタイトルにしたんだろう」とぼやきたくなるときがある。
でも、タイトルの決定に翻訳家の意見が反映されることはほとんどない。』

タイトルの翻訳の話や、誤訳が見つかったときの話、訳注をつけるセンスの話などなど・・・

翻訳業界のあれこれも、とても興味深かったです。


私生活を綴ったエッセイでは、天然発言をする母と、愛はあるが容赦のない娘のツッコミに、ほっこり。

形は違うけど、ブレディみかこさんと息子さんの親子関係のよう。

お互いを信頼しきった関係が羨ましくなりました。

私もそんなに母になりたい。


小川糸、恩田陸、角田光代、桐野夏生、京極夏彦、西加奈子、桜木紫乃、谷川俊太郎、辻仁成、東野圭吾、益田ミリ、三浦しをん、村上春樹、村上龍、森絵都、ヨシタケシンスケ(敬称略)・・・

名だたる作品を韓国版に翻訳されているクォン・ナミさん。

普段は影の伴走者でありながら、その実どこから見ても(読んでも)、チャーミングで親しみやすい女性でした。


紋佳🐻

読書