『ポンコツ一家』


家族紹介。

うちは、
母、80歳、認知症。
姉、47歳、ダウン症。
父、81歳、酔っ払い。
ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである。
ただ、皆が皆ずっとこうだった訳ではない。

何十年かぶりに、私は実家に戻った。

まずはその理由を、いや長めの愚痴にお付き合い頂けたら、とても嬉しい―。


認知症のお母様は感情の起伏が激しくて、
ダウン症のお姉さまの行動も突拍子もなく、
定年を迎えた呑兵衛のお父さまは家事など一切できない・・・ああ、心が痛い。

読んでいるだけで、胃がひりひりしてしまいました。


にしおかさん、偉い。本当に偉い。

3歳児の第一次反抗期に手を焼いて、全てを投げ出したくなる自分の苦労が、いかに浅いかを思い知りました。


『いそいで体温計を持ち出し「熱測るよ」と母の脇に滑り込ませると「熱なんかない!コロナじゃない!こんなもん!エイ!」と取り出し壁に投げつける。
カレンダーにパシッと当たり床に落ちる。私が拾って、母が投げる。ダーツじゃねぇんだ。
「脇じゃなくて口でもいいよ、口開けて」と言うと「イーーー!」と子供のように歯を食いしばり、私の手から体温計を掴み取り、投げ捨てる。早くも匙を投げたい。』

子どもならまだしも、大人に、しかも自分の母親にこんな風にされたら、精神的に参ってしまう。

おまけに、必死にサポートするにしおかさんを真っ先に誰かわからなくなるなんて・・・悲しすぎる。


『頼る人がそばにいると認知症の進行は早いと聞く。
全部はやらない。全部はできない。』

ご自身に言い含めるような書き方が、胸に刺さります。

『「(略)花買う無駄遣いやめなさい。ウチにいたらいいさ。あんたんちだよ」と。
・・・どこかのネットか本に書いてあったんだよ。
徘徊が始まった時、靴を履く目線のところに花があったら一瞬足を止めるかもって。
また私は見当違いなことをしているのだろうか。
止まって欲しいんだ。ママのウチだよ。
どこにも行かないで。』

お笑い芸人として、オチのついた、面白い言い回しで綴られたケアラー日記。

にしおかさんの心の悲鳴が、いまも私の中に反響したまま。


紋佳🐻

読書