『使いきる』


いつもすっきり片付いている台所、選び抜かれ、気持ちよく手入れされた道具、常に一段はあけてある冷蔵庫、たくさん用意された洗濯済みのふきん・・・

おいしい料理は、実は、掃除から始まっている!

1日の終わりには台の上に何もない状態、だから、翌朝はすぐに作業にとりかかることができる。

「台所には”台”がないと」「冷蔵庫のなかは頭の中」「台所はジムよ!」―

気持ちよく台所仕事ができるための整理、片付け術、家事の流れの作り方・・・

哲学ともいえる暮らし術を、あますところなく紹介。


私が暮らしの中で掲げているモットー、「使いきる」。

こんなにもドンピシャなタイトルはない!と、直ぐに手に取りました。


『片付けは片っ端から!
分類はいっさいせず、こっちの端からガーッと片づける。本当にこれが一番早いです。
台なら台の片っ端から、散らかったものをひとつずつ片づける。真ん中からじゃダメなんですよ。
片方の端から順番に片づけていくと、片づいたところが空いてくる。(略)
そうすると、ここまで何分かかったから、あと何分で終わるとわかる。
目安がついてやる気も出るんです。』

考え方がとても好き。


『これは料理や住まいの話だけじゃなく、結局、全部同じなのです。家事にしろ、仕事にしろ、育児にしろ、人間関係にしろ、全部同じ。
自分に与えられたものを大切にして、頭と心をよく使い、その環境なり縁なりを充分に使いきる。
そうすれば自然につぎへとステップアップできる。私はそう信じています。』

使うのは頭だけじゃなくて、心も。

使いきるのは、ものだけじゃなくて、時間やご縁も。


『ものを大切にすることも、誰かを幸せにすることも、結局、自分自身が心豊かでいないとできないんですよね。』

『ゴージャスなホテルで食事をしたから幸せかって言ったら、全然そうではないんです。
それよりも、ひとりでゆっくり片づけをする時間や、銀色に輝く枯れ草を道端でつんで部屋に飾るほうが、よっぽど幸せを感じるし、贅沢です。
お金を出しても買えないもの、お金じゃない世界。ますます、そちらの"贅沢"に惹かれています。』

『だから、ものを「使いきる」って、つまり、そのものを愛することなんだな、って思う。
いかがですか、愛するものと暮らしていますか?』

そうか、だから私は「使いきりたい」のか、と自分の考えがより深まりました。


最期には、自分という人間を、しっかりと使いきって、愛して手放したい。

そんなきもちを新たに、日々の暮らしを見つめ直すのでした。


紋佳🐻

読書