『波』2022年12月号


『波』2022年12月号。


戦時中の中央気象台研究部に配属されている勝子の物語、伊予原新さんの『翠雨の人』。

女性研究者の目線から見た、当時の日本の様子に、毎回胸が締め付けられるのですが、今回はいよいよ終戦を迎えたときのお話。

原爆が落とされた「らしい」という情報を受けた研究者たちの心境、そして戦後の渾沌とした雰囲気が、細やかに描かれています。

「過去の記録」ではなく、「勝子を取り巻く現在進行形のお話」として読む、戦争が起こっている世界。

今年読むことができてよかった小説のひとつです。


スマホの普及によって更なる広がりを見てせている「陰謀論者」たち。

特によく見かけるのが『反ワクチン』を唱える人たちによる投稿。

(これは本当なんだろうか・・・)と不安感を煽ってくるような情報が蔓延していますよね。

『この閉鎖空間で得られる情報こそが「真実」だと彼らは確信し、それを知らない市井の人々を「情報弱者」と見なします。
彼ら陰謀論者からすれば、私たちのほうが無知で非常識なのです。』

物江潤さんの『デマ・陰謀論・カルト スマホ教という宗教』、これ読みたい。

感染症も恐いけど、増加する陰謀論者も、恐ろしい時代になった気がします。


紋佳🐻

読書